このシリーズでは、過去に国公立大で出題された英語長文を題材に
一文ずつ和訳を交えて解説を行います。
総合的な英文の解釈や文構造の理解を深める教材として読んでいただくと幸いです。
5文目
Then the priest and the boy, prostrating themselves, began with exceeding fervor to repeat the holy invocation to Fugen Bosatsu.
「お坊様と少年は、地面にひれ伏して、並々ならぬ熱意で普賢菩薩に対して神聖なる祈りを繰り返し始めた。」
・冒頭の一文に登場した3人のうち、二人の正体は、ここではっきりします。
お坊様 the priest と少年 the boy ですね。あとの一人は、誰でしょう?
もう少し先で語られることになります。
・prostrating themselves またしても出ました!
付帯状況を表す分詞構文ですね。もし、読みづらければ、この部分を文頭に出してみてください。
なお、ご存知の通り、分詞構文には付帯状況のほかにもさまざまな意味があります。
「時」、「理由」、「条件」、「譲歩」、「結果」、「連続動作」などです。
しかし、長文に出てくる分詞構文の頻度は「付帯状況」が一番であることを覚えておくと便利です。
※長文ではなぜ、分詞構文が多用されるか?
その理由は単語の経済性という側面にあります。
つまり、意味内容の伝達に、必要以上数の単語を使用しないことが原則なのです。
したがって、接続詞や主語を省略して分詞構文にしてしまうことで、
単語の数を減らそうという傾向があるのです。
ただし、受験生の方!以下のことを覚えておいてください。
英作では、「付帯状況」以外の分詞構文の乱発は避けること!
なぜか?接続詞を省略してしまうこの文法は、意味がわかりにくくなる危険があるからです。
自分は、分詞構文「譲歩」のつもりで英作しても、読み手には「理由」のように読めてしまう、
というようなことことがあるからです。
こういう誤解を生じる恐れのある英文は、極力避けるべきなのです。
・with exceeding fervor この部分は副詞句の挿入句だと考えてください。
ですからbegan to repeat O 「Oを繰り返し始めた」となります。
もちろんto repeat は不定詞の名詞的用法ですよ。
6文目
では6文目を見ていきましょう
But suddenly the hunter rose up behind them, bow in hand; and, bending his bow to the full, he sent a long arrow whizzing straight at the luminous Buddha, into whose breast it sank up to the very feathers.
「しかし、猟師は突然、手に弓を持って彼らの背後にたちあがった。彼は弓を思いっきり引っぱって、光り輝く仏様をめがけて、一直線にヒューっと飛んでゆく長い矢を放った。そして、矢は仏様の胸に、羽のところまで(深く)刺さった。」
・bending his bow to the full ここはまたしても分詞構文ですが、「付帯状況」ではないようです。
「弓を引っ張りながら矢を放った」となってしまっては、おかしいからです。
ここは「連続動作」と解釈して「弓を引っ張って、その次に矢を放った」と考えましょう。
・whizzing straight at the luminous Buddha ここは現在分詞の限定用法です。
つまり arrow を修飾するための形容詞句ですね。
分詞構文であるとすると、whiz の意味上の主語がhe つまり「猟師」になってしまい、
飛んでいったのは「猟師」だというおかしなことになってしまいます。
・into whose breast it sank up to the very feathers
関係代名詞の非制限用法(継続用法)です。
ちょっとわかりにくいなぁ、という人のために、このパーツを文から切り離してみましょう。
It sank up to the very feathers into him. この文の下線部が、
先行詞 the luminous Buddha の直後まで移動するわけですが、
その際に前置詞 into もいっしょについて行ったのですね。
関係詞の非制限用法については、後日あらためて解説します。
また、ここにでてくる副詞 up ですが、これはあまり意味がありませんので和文に反映させにくいですね。
しいて言えば「完全に」という意味を動詞に添える働きをしています。
今回はここまでです!
いかがでしたでしょうか?
このような形式で可能な限り丁寧に英文の解説を行っていきます。
次回もお楽しみに。