こんにちは!橿原神宮前駅徒歩1分の
国公立・関関同立専門予備校ナセバのディレクターの山中です。
こちらの記事をご覧になられている方の中には、
来年、再来年と、今後大学入試を迎える高校生、
またはその保護者の方も多いのではないかと思います。
既に、新聞やニュースなどで報じられている通り、
指導要領や大学入試が変わることは知っているが
具体的にどう変わるのか
どのような対応が必要なのか
など様々な悩みや、不安を抱えている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方に向けて、
これからの大学入試を迎える上での
ポイントについて、解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
大学入試の選抜方式
大学入試について、解説していく上で
まずはどのような選抜方式があるのか、
一度整理しておきます。
3つの選抜方式について解説します。
一般選抜
一般選抜は、学力で合否が決まる入試です。
国公立
国公立大を受験する場合は、1月に実施される「共通テスト」と、
2月、3月に大学別で実施される「個別検査」の点数によって、
合否が決まります。
共通テストは、
外国語
(英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語)
国語
数学
数学Ⅰ、数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ、数学Ⅱ
数学B、簿記・会計、情報関係基礎
理科
(物理基礎、生物基礎、化学基礎、地学基礎)
(物理、化学、生物、地学)
地理・歴史
(世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理B)
公民
(現代社会、倫理、政治経済、倫理・政治経済)
これらの教科・科目の中から
志望する大学・学部の指定する方式で受験する必要があります。
多くの場合5教科7科目となっています。
医学部や薬学部などは数学や理科の
科目が明確に指定されている場合もあります。
2次試験での、科目数や配点、共通テストとの点数比率などは
大学によって異なります。
私立
私立の一般選抜は文系・理系ともに
多くの場合が3教科入試となっています。
文系は、英語、国語、地理歴史or公民
理系は、英語、数学、理科という枠組みの中で
それぞれ社会や理科は1科目を選択して受ける方式となっています。
総合型選抜
総合型選抜は大学が求める人物像
(アドミッションポリシー)に合う人物を
採用するための入試です。
10月、11月に実施されます。
大学や学部ごとで入試の内容は異なりますが
書類審査
学力試験
実技試験
課題/レポート
小論文
面接/グループディスカッション
プレゼンテーション
など、様々な方式があります。
学校推薦型選抜
高校1年生から3年生1学期までの評定平均が
出願条件として、指定されることが多いです。
学力検査や小論文、口頭試問、
資格・検定試験の成績、大学入学共通テストなど
少なくとも一つを活用するように定められています。
(出典:令和3年度大学入試選抜実施要項)
11月、12月に合否が決まる場合がほとんどです。
現在の大学入試
国際化、情報化の急速な進展を受け、
社会構造も大きく変革しています。
今後も様々な問題が予想されます。
これまでに前例がなく、
決まった正解が存在しない問題に対して
知識や知恵、技能などを活用しながら
自立的に取り組むためには
学力の3要素をバランス良く、
育まなくてはなりません。
学力の3要素
◎知識・技能の確実な習得
◎思考力・判断力・表現力
◎主体性を持って、多様な人々と協働して学ぶ態度
・
センター試験→共通テストへ
こうした背景もあり、
知識・技能の獲得だけでなく、
思考力・表現力・判断力を育むために、
指導要領の変更がありました。
そして、それに伴い大学入試にも
変化がありました。
まずは
共通テストの導入です。
従来のセンター試験に代わり、大学入学希望者を対象に
高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し
大学教育を受けるために
必要な能力について把握する為のものです。
出題傾向の他に
「記述問題の導入」「英語民間試験の活用」なども
予定されていましたが、現在見送りとなっています。
一般選抜だけでなく、総合型選抜・学校推薦型選抜にも
新たなルールが設けられました。
2022年1月に2度目の共通テストが実施されました。
問題文の長さ、思考・判断が伴う問題の出題など、
随所に変化が見られました。
しかし、これからの大学入試ではさらに変わることが予測されています。
これからの大学入試
新学習指導要領
2022年4月に高校に入学する1年生から
新たな学習指導要領のもとで、授業が行われます。
簡単にお伝えすると、
学習する科目、学習する内容や量・使用する教科書などが
丸ごと再編されます。
国語
現行
国語総合、国語表現、現代文A、現代文B、古典A、古典B
改訂
現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典探求
必修科目は、「現代の国語」と「言語文化」の2単位ずつになっています。
社会
社会では科目の編成に変更があります。
これまでは
必修科目:世界史A・世界史B (どちらか履修)
選択科目:日本史A・日本史B・地理A・地理B(いずれか1つ選択)
改定後は
必修科目:歴史総合・地理総合(いずれも履修)
選択科目:世界史探求・日本史探求・地理探求
これまで、全ての高校生が、世界史をA・Bのどちらかで履修していましたが
改定後は歴史総合・地理総合どちらも全員が履修することになります。
地理・歴史
歴史総合は、歴史学習の導入科目として
「資料の読み取り」が目的の一つとされています。
世界史・日本史の近代以降の内容を合わせたものになっています。
割合では世界史の方がやや多くなる見通しです。
そして、戦争と歴史の多面性や
私たちが抱える課題の理解と解決などの
内容を幅広く学びます。
ここで、新たな教科書から
「歴史総合 各部の学習の流れ」を見てみましょう。
①資料をもとに問いを立てる(部のはじめ)
②本文で歴史の流れを学ぶ(本文)
③現代の諸課題と向き合う(部のまとめ)
単に知識の獲得だけを目的としていないことが
はっきりとわかります。
地理総合、探求科目も同様の変更が見られ
学習の前や後に
「考えさせる」ような作りになっています。
公民
「現代社会」から公共という科目名に変更されました。
ここでも従来の学習内容に加え様々な問題に対して
考えさせる作りになっています。
例えば、
「ワークライフバランスをどう実現させるか」
「安楽死や尊厳死を認めるべきか」などといった内容が
盛り込まれています。
さらに、18歳から選挙に参加することを踏まえ
実際の投票を意識した内容も重視されています。
過去の日本の政権や諸外国の例をもとに
政権のあり方について考えさせるようなものあります。
数学
続いて【数学】です。
現行
数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲ、数A、数B、数学活用
改訂
数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲ、数A、数B、数C
理科
理科に関しては大きな変化は見られず、以下のようになっています。
物理基礎、生物基礎、化学基礎、地学基礎
物理、生物、化学、地学
科目に変化はなくとも、教科書や授業の内容に関しては
他の科目同様に、思考を伴うようなものになっています。
英語
以下の5つの領域において能力を育むことを目標としています。
聞くこと
読むこと
話すこと(やり取り)
話すこと(発表)
書くこと
受験のための英語から
より実用的な英語の学習となっています。
現行
コミュ英語Ⅰ、コミュ英語Ⅱ、コミュ英語Ⅲ」
英語表現Ⅰ、英語表現Ⅱ、英語会話
改訂
英語コミュⅠ、英語コミュⅡ、英語コミュⅢ
論理・表現Ⅰ、論理・表現Ⅱ、論理・表現Ⅲ
英語を用いた論理的な思考や表現が
重視されていることが分かりますね。
とはいえ、それらを可能にするには
文法や会話表現が、やはり欠かせないので
現行の教科書よりも文法の説明が詳しくなっています。
情報
情報も大きく変わっています。
プログラミングを含む情報Ⅰが必修となります。
改定
- 社会と情報(プログラミングを含まない)
- 情報の科学(プログラミングを含む)
改定
- 情報Ⅰ(プログラミングを含む。 必修)
- 情報Ⅱ(より高度な内容を含む。選択)
そしてこの情報Ⅰが、
共通テストでも受験教科として新設されます。
国公立大学を志望する受験生は必須科目となる見込みです。
プログラミングと聞くと少し不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし情報Ⅰの主な学習内容は、以下のようになっており、
プログラミングはその一部に過ぎません。
また、現在は実技形式での試験は予定されていません。
- 情報社会の問題解決
- コミュニケーションと情報デザイン
- コンピュータとプログラミング
- 情報通信ネットワークとデータの活用
サンプル問題が大学入試センターのHPで公開されています。
2025年大学共通テスト
指導要領の変更に合わせ2025年の大学入試も変わります。
共通試験では、
現行の6教科30科目から
7教科21科目へと変更されます。
また、科目のカテゴリーだけでなく、
試験問題の性格や傾向もかなり変わることが予想されます。
具体的にどのようになるのか、新学習指導要領に
ヒントがあります。
複数の科目の「学習の目標」に登場したり、
全体を通して何度も繰り返し使用されている言葉が
見られます。以下のような言葉です
・思考力 表現力 判断力 ・主体性(主体的) ・読解力
・多面的 多角的 ・実用的 ・SDGs ・グローバル
・社会 ・資料の活用 ・資質 能力 ・学びに向かう力
学び方が変われば、問われ方も変わる。
つまり、試験問題も現行よりもさらに
思考力 表現力 判断力を問うような問題になっていきます。
共通テストでは、センター試験に比べ、時事性や実用性の
高い問題が多く見られます。
こうした部分もより色濃くなることでしょう。
求められる学習
では、こうした変化を受けて
今後大学入試を受けていく、中高生は
どのような学習が必要なのでしょうか。
学校の授業は大切に
これは、学ぶ内容や試験内容に関わらず、
常に言えることです。
共通試験や一般選抜の試験問題も、基本は
教科書内容をもとに出題されるためです。
授業を通して学ぶことは、確実に身につけ
その上で、入試に向けた訓練を日々重ねましょう。
幅広い興味・関心を持つ
現行の共通テストにも当てはまりますが、
学校や教科書で学んだ情報を活用して、
設問で触れられた諸問題に関して思考する
ような問題は必ずこの先も出題されます。
この際、学校や受験対策で学んだ内容以外に
考えるための材料となる、予備知識が
備わっているとより、深く広い思考が可能になります。
例えを用いて解説します。
指定された料理を制限時間内に
完成させるというミッションが
試験本番だとしましょう。
学校の授業や教科書で学ぶことは、
食材の調達です。
受験勉強では、食材を活用して実際に、
調理の仕方を身につけるようなイメージです。
こうして、本番に向け
たくさんの食材を集め、作れる料理も
どんどん増やしていきます。
しかし、試験本番で指定される料理の中には、
あなたが調理したこともなく、
作り方がわからないものもあります。
作り方を知らない料理を作るのは難しい作業です。
ところが、あなたがその料理をどこかで
食べたことがあったとしたら、どうでしょう。
作り方を知らなくても、
どんな味だったか、どんな材料が使われていたか
どんな見た目だったのか覚えているはずです。
記憶を頼りに、似通ったものや近いものが作れるかもしれません。
さらに料理で例えると
今後の試験では、
「海外から観光客に、日本の魅力が伝わる料理を作りなさい。」
というような、独自性やアイデアも必要な問題も出されるでしょう。
食材や調理の方法を身につけるだけでなく、
興味を持ちながら、たくさんの料理に触れ
情報収集することが重要ですね。
受験勉強に置き換えると、
社会情勢や歴史、社会の仕組みや文化など
様々なことに対して、興味を持つことが大切です。
日常生活で、耳にするものや目にするものに対して、
「なぜ?」と疑問を持つことがその先の知識や経験につながります。
そして、それらに対して必ず
自分の意見や考えを持つようにしてください。
この繰り返しで、学力と同様に重要な知性や教養が身につきます。
今後の大学入試においても、非常に役に立つことでしょう。
主体的な姿勢
先述しました通り、今後の教育では
時事的な話題から、問題点を自ら考え出すこと
過去や現在のものごとを多面的、多角的に考えること
世界や社会の動向を主体的に捉えること
なども重要視されます。
これらに共通して言えることがあります。
それは、「人に教えてもらうことではない」
ということです。
ある程度学んだ後は、
実践しながら、「自分で考えられる」ようになる必要があります。
そのため、これまで以上に自立した学習習慣が重要です。
思考力も表現力も判断力も一朝一夕で身につくものではありません。
日々の積み重ねで徐々に形成されていくものです。
高校3年生になってからではなく、早くからこうした学び方を実践し
豊かな学力と、思考力や表現力などの能力を育みましょう。
これからの大学入試 まとめ
ここまで、大学入試の仕組みや、今後の大学入試について
解説してきました。
まとめです。
◎学び方が変わり、大学入試も変わる
◎理解・暗記だけでなく幅広い能力・資質が問われる
◎色々な知識・関心と自分なりの意見・考えを持つ
◎自立した学習姿勢を身につけることが大切
以上のことを意識しながら、目標の大学に向け
日々の学習を進めてください。
少しでも参考になれば幸いです。